障害のある人の移動を支えるのが主な仕事
移動介護従事者について
移動介護従事者は障害のある人の移動を支えることが主な仕事で、別名「ガイドヘルパー」と呼ばれます。介護職員初任者研修などの介護保険制度上の資格とは違い、障害者総合支援法に基づいています。視聴覚障害、知的障害、全身性障害などの要因で1人では移動することが困難な人が安全に外出できるように支援します。
移動の重要性
日常生活を送る上で欠かせないのが、移動です。通学や通勤、通院、公的な手続きといった最低限の行動だけでなく、その人らしい生活を実現するためにも欠かせません。それを支援する移動介護従事者は、非常に重要な役割を担います。
不便なく移動できる人にとって、外食に行ったり気分転換のために遊びに出かけたりすることは何も苦ではありません。しかし、移動自体が困難な人にとっては実現が難しく、周囲に迷惑をかけることに対して精神的な落ち込みも生じます。移動介護従事者は利用者の移動を支援することで、その人が本当にやりたいと思ったことを可能な限り実現します。また、障害のある人の社会参加や自立した生活を促すことにもつながります。
移動介護従事者にできること
移動介護従事者に求められるのは、利用者の安全確保です。常に利用者の健康状態を気にかけながら、必要に応じて声かけをします。外出先での様々な場面に対応するため、基本的な介護技術も求められます。混雑状況や天候などを考慮して交通手段を選択し、最適な支援方法を実施します。そのため、判断力や決断力も必要です。
移動介護従事者が実施可能なサービス範囲は、各自治体によって決められています。各自治体の窓口や裁判所、警察署などの行政機関に赴く際の移動は支援対象に含まれます。美術館や文化教養講座などへの参加、レジャーや買い物といった余暇活動もサービス範囲内です。ただし、通学や通院などの社会生活上必要な場所への外出については、障害福祉サービスの範囲に含むケースもあるため、事前に確認が必要です。
なお、移動介護従事者ができないこととして挙げられるのは、利用者の経済的活動や布教活動、ギャンブル、飲酒などに伴う外出です。海水浴や登山などの危険が伴う場所への外出も対象外です。
移動介護従事者の種類
移動介護従事者の種類は対象となる障害によって3つに分けられます。「視聴覚障害者(児)ガイドヘルパー」「全身性障害者(児)ガイドヘルパー」「知的障害者(児)ガイドヘルパー」の3つで、それぞれの障害に応じて利用者の外出に伴う移動を支援します。移動介護従事者を目指す場合は、どの分野にするのかを事前に考えておきましょう。